支援レベルの変更が可能な学習支援システムの開発と評価

350903034  宇野友雄

論文要旨

学習者と高度な相互作用を行う学習支援システムには,学習支援システムが学習者をい つ,どの程度サポートするのかという問題,Assistance Dilemma が生じることが指摘さ れている.そこでは,支援のレベルの調整という観点が重要である.支援のレベル調 整に関して,Scaffoldingは有効なアプローチである.Scaffolding とは,学習者の学習 開始時に適切な「足場かけ」を用意し,学習が進むにつれてその「足場かけ」を徐々に外 していくことで,段階的に学習を促進させてゆくことを試みるものである.これまでに, Scaffolding の概念を取り入れた,支援調整を行うシステムが提案されている.本研究 では,Scaffolding の段階を,多次元,多段階で調整可能なシステムを開発し,Assistance Dilemma を実証的に検討する. 以上のことから,本研究では,まず,Scaffolding の段階をLevels of Scaffolding(LOS) と 定義した.そして,LOS を調整可能な自然演繹法の学習を行うための学習支援システムを 開発した.本システムは,与えられた前提から結論を導出していく際に用いる解法の「選 択」と「実行」のLOS を調整可能である. また,本研究では,開発した学習支援システムを実験システムとして用いて,LOS と, 学習行動,及び学習効果の関連についての検証を行うために,2 つの実験を行った. 実験1 では,学習支援システムのLOS が,学習中の行動とその後の学習効果に与える効 果を検討した. 実験2 では,参加者のHelp Seeking 行動を観察し,学習者はある程度適用的に学習を行 えるということがわかった.